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名古屋巡礼記:72

私にとっての処女地、守山区を巡礼する/中編

最初に訪れたのは「川村」という名前の駅に程近い「川嶋神社」から。
(私が巡礼の時に使う携帯用の地図は1999年製。
ということはガイドウェイバスがまだ計画段階で駅の名前もまだ決まっていない頃の地図。
という訳で私が地図を見て思い描いていた目的地である「河村南」という駅は現実には
影も形もなくて、あったのは次の旧「松川橋」駅の成れの果てである「河村」駅だった。
要は知らない内にひとつ駅を乗り越してしまったという単純な話であった)
取り返しがつかないというのも、一期一会の塊である「巡礼」のおもしろいところ。
ここは気を取り直して、川嶋神社に向かった。
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一見立派そうに見えた川嶋神社の拝殿。

この辺り、区画整理も道路整備もまだまだ不完全なエリアなんだな。
要は田舎の村がヒョンなことから名古屋市に編入されてしまったというしらけた感じ。
微妙に曲がりくねった道や意味のない空地の奥に川嶋神社の鎮守の森が見えてきた。
(どいでもいいけど、ビートルズの名曲「The Long and Wainding road」
という感じからはどう見てもここは程遠かったけどね)
近づいてみると氏子の年寄り連中が早朝から清掃活動に精を出していた。
「朝から御苦労さんだね」と思いながら、私は知らん顔して拝殿へと向かった。
鬱蒼と生い茂った鎮守の森とは裏腹に、拝殿は味気のないコンクリート製。
更にこんな大きな神社なのに狛犬が1匹もいないときている。
これには私も参ったね。
開いた口が塞がらないというか、思わずガクッと腰砕けになってしまった。
しかし「何のこれしき」と自分に言い聞かせて次へと向かった。
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ここの神社には不釣り合いなほど立派な賽銭箱だった。

次はナナシノゴンベイ神社へ。ここから南西へ約300mのところにある。
地図を頼りに行ったところ、目指す小さな神社というか祠にたどり着いた。
この神社、名前を「社宮司神社」という。聞きなれない名前だ。
しかし、元々何かの由来があってこの地にできあがったという神社ではなく、
どこかの篤志家がわざわざ私財を投げ打って造った神社のよう。
境内の広さ4帖半という昔のアパートサイズの慎ましい神社だった。
しかしよく見ると、境内は塵ひとつないという感じで綺麗に掃除されているし、
こんな小さなところに係わらず、手洗施設もあって更にはベンチまで用意されている。
ここを作った人はよっぽど信心深い人とお見受けした。
お参りを済まして、拝殿というか本殿というか小さな祠をよくよく見ると、
祠の横に小さな狛犬が、それも2体隠れているではないか。
これはこれで、分相応らしくて「さすが篤志家だ」と思ってしまった。
と言っても、ものの1分も見回したら、もう何も見るものがなくなってしまった。
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4帖半というのは単なる例えで、実際は豪華20帖は有にあった。
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こういう小さな発見が明日への糧となるのだ。

ここから南西に700mほど離れたところに、次の目的地がある。
小幡稲荷公園という公園に稲荷大明神社という聞きなれない神社があると書いてある。
更に直ぐ近くには白山神社もあって、これは何か期待が持てそう。
しかし、700mを一気に歩くというのはなかなか辛い。
汗は噴き出してくるは、喉はカラカラになってくるは、足はガクガクしてくるは、
いいことはひとつもない。
かと言って、歩かないと絶対に目的地には着かない。
何はともあれ、やるっきゃないのだ!
そうこうする内に、公園らしき森が見えてきた。
地図は便利なもので距離や位置関係というのは一目瞭然なんだが、
ひとつだけ判らないことがある。
それは地形というのか、高度差みたいなものが全然判らないことだ。
この場合、小幡稲荷公園という公園がまっ平らな公園なのか、崖の上にある公園なのか、
とにかく行ってみなきゃ判らないということ。
結果的には公園と思われる森に近づいたことは近づいたのだ。
入口が見当たらないところをみると、どうやら裏側に出たみたい。
何か小道というか、参道の気配が雑草の間からヒシヒシと感じられる。
普通なら森をぐるりと回って入口を探すというのが賢明なのだが
この場合、歩き疲れて一刻も早く休みたかった、というのがホンネ。
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クラクラしながら登った心臓破りの坂がコレ。

雑草をかき分けると階段らしきものが出てきた。
「ウン、これならたどり着けれる」そう思って何も考えずに登って行った。
するとどうだ、階段だといってもたかが知れてると思って行くと、
それこそ階段がないと上がれないような高低差、有に20mくらいある恐ろしい坂が出現した。
周りは鬱蒼とした森に囲まれて日の光も届かないようなところ。
「後悔先き立たず、とはこのことか」と思ってみてもあとの祭り。
小谷城よりも急な坂を、杖を突き突き落ちないように気を付けながら登って行った。
ようやく頂上(冷静に考えると全然違うのだが)に着いた。
そこは児童公園のようなところで、場違いなバーサンがひとり鉄棒にぶら下がっていた。
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児童公園にはこういった訳の判らない遊具もそこはかとなく置いてあった。

一息付いて周りを観察する余裕も出てきた。
よく見ると、ここは稲荷神社の真横に出て来たみたい。
朝から近所から来たと思われる人達が銘々思い思いの参り方でお参りをしていた。
誰ひとり、時間を惜しんでお参りしなくちゃというアクセクした人は見当たらない。
ここではゆっくりとした時間が流れていた。そういう私もお参りすることに。
銅葺きの女性ぽい柔らかいフォルムが特徴の稲荷神社の拝殿の前に立ち、
一目見て「ここはホンモノだ」と思った。心を込めてお参りをした。
この続きは次回へ
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コレが稲荷神社の拝殿の全景。守山区にある神社にしては立派だ。
by tomhana190 | 2006-06-08 07:04


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