![]() 5月の連休を利用して近場の巡礼に行ってきた。 春を通り越してまさに初夏を思わせる陽気、巡礼するにはもってこいの季節になった。 今回は前々から一度は行っておきたかった「桃厳寺」と「興正寺」に行くことにした。 差し当たっては本山で地下鉄を降りて桃厳寺に向かった。 本山の交差点を名古屋大学に向かって坂を上がっていくと左手に目指す桃厳寺がある。 このお寺はかつて末森城主だった信長の弟である織田信行が 父信秀の菩提を弔うために創建したもので、信行自身も祀られているという。 入口に立ってまず思うことは若者で賑わう本山にあって驚くほど静寂を保っていること。 緑も鬱蒼としてまさに古刹、決して薄っぺらな寺ではないということ。 門入って判ることだが、誰もがここはホンモノだと思うに違いないということ。 まず正面にさり気なくある安っぽい作りの地蔵堂がこれまたいい。 中にいる地蔵達は全員江戸時代のモノと見た。 そこから左手に曲がると正面に2階建ての鐘楼が見えてくる。 その前にいる2匹の狛犬がこの場の雰囲気を如実に物語っていた。 ![]() 何故かしら寺院に縁がなさそうな狛犬があっと驚くような逸品だったりすることがある。 ここの狛犬はまさにそういう狛犬だ。作られたのはそんなに古くないはずだが。 しかし、単純に古い新しいで物事を判断してはいけない。 新しくてもいいものはいいんだから、もちろん記念写真に納めてきた。 ひとしきり写真(1対の狛犬に私が何と10枚ほども)を撮った後、 上気した気持ちを押さえるように奥にある本堂の方へと向かった。 木々に囲まれて本堂が静かに佇んでいた。 このあたり、あくまでさり気なく日本の庭園美といった感じでいいんじゃないかな。 お参りを無事済ませ、木々の間を行くと目立たない小さな祠があった。 祠の中を覗いてみると、そこには何と巨大な男根がおっ立っていた。 男根には何やらデカデカと印鑰童子と書かれているではないか。 この寺、その気になって探すとそれらしいものが出てくるわ出てくるわ。 ここは何故か男女和合子宝祈願をするにはもってこいの場所だったのだ。 不吉と言うか、淫媚と言うか、メチャクチャと言うか、 普段見慣れた片意地張った寺にこういうものがあると何だかほっとする、 てか! ![]() しかし、いいことばっかりでないのも世の常。 この寺にあるという名古屋大仏と呼ばれいる高さ10mの大仏を拝みに行こうとして、 ハタと考え込んでしまった。 大仏へは見るからに急ごしらえの長い下り階段を下りなくてはいけない。 よく見ると右側だけに立派な手摺があった。 こういう時、私にはこれから起きるであろうシチュエーションを考える癖ができている。 手摺がなかったら下りられないほどのガタガタの階段。 しかし下りるには下りられると見た。 そうして参拝を済まして帰ってこようと思って、ハタと困った。 この階段では手摺も持たずに杖だけでは上がってこれないと。 万一足を滑らせると万事休す、この階段ではタダでは済まないと。 休日の早朝、誰もいなくて私ひとりでこんな危険は犯せないと。 という訳で噂には聞いていた大仏参拝(チョッピリお顔だけは拝ましてもらった)は この次(何時のことになるのやら)のことになるのかな。 ![]() ![]() 本山駅に戻って、名城線で八事へと向かった。 八事駅は元々あった鶴舞線に最近名城線の駅もできて大きな駅に変身してた。 素人の思いつきで行動を起こすと、とんでもないことになりかねないと思ったので、 ここは近くの駅員に聞いて最善のコースをたどることにした。 興正寺に一番近い出口から地上に出ていよいよレッツゴーである。 しばらく歩くと八事には似つかわしくない近代的なシティーホテルが見えてきた。 案の定、閑散としていた。どうも最近閉鎖したようだ。 しばらく行くと、道の反対側にかの有名な超高価料亭「八勝館」が見えるはずだが、 しばらく見ないうちに勝手が違っていた。 萱葺きの門はあるにはあったが大きなマンションが横にふんぞり返っていて それどころではない感じ。北大路魯山人ゆかりの料亭もこれではどうもという感じだった。 ![]() 右手に鬱蒼とした森が見えてくる。するとそこはもう興正寺の境内ということになる。 まず最初に見えてくるのが東山門という立派な門。 それもそのはず、この門は元々名古屋城にあったイクサ用に作られた出丸門とのこと。 しかし、調子に乗ってココから入ってはいけない。 ヘタに入ると道に迷うという話なのでもうしばらくおとなしく道沿いを行くことにした。 西へ150m程行ったところにある総門(東山門よりは劣る)が見えてきた。 門の外には派出所もあって何故か警官が杖を片手にえらそうに通りを見張っていた。 辺りもそれらしくなってきたなと思って総門をくぐると、 そこは何のことはないまさに日曜朝市の会場だった。 総門から100m中に入った中門までの間に小さな祠が左右に延々と続いているはずなのに、 そこには勝手気ままに立てた屋台らしき年寄り御用達の店々が所狭しと立並んでいた。 思わぬ展開に目が点というか、しばし見とれてしまった。 この調子だとここだけでなく本堂辺りにもあるに違いないと思った。 ![]() ![]() 予感は当っていた。 まだ朝9時も回っていないというのに店、みせ、ミセのオンパレードなのだ。 思えば店があっても客がいなければまだ静かなはずなのだが、 こんな朝早くから客がいるから始末におえないというか、とんでもないことになっている。 人垣(ホントは老人垣)をかいくぐってやっと本堂前にたどり着いた。 一応お参りは済ましたが、 その間も本堂の内と外で主にバーさん達が喜々として大声をあげて立ち振舞っていた。 これでは予定の行動、予定の思いもあったもんじゃない。 いい寺の定義は一にも二にも閑散ではなく静寂だと思っている私としては 目の前の惨劇はただただ来た日を間違えたと思うしかないどうしようもない状態だった。 都会の中にあって、山あり、谷あり、林あり、階段もあって、霊園もあって、 何でもありの興正寺参拝ツアーもこれでは終わらざろう得なかった。 唯一影響を受けなかった五重塔の写真を記念に撮って帰路に着いた。 ![]() ![]()
by tomhana190
| 2006-05-25 09:55
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人生の御負け
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