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GOB備忘録:34

ライブと私の備忘録[23]

今から25年くらい前の話、「Hello in There」というジョン・プラインの歌を
ライブでやろう思って、歌詞カードを見つけ、コードも探して、
いざ練習したものの結局この歌は日の目を見ることはなかった。
(この歌、初めに聞いて覚えたのはベッド・ミドラ−の歌だったのだが)
私ですらこんなテイタラクなんだから、今までに日本人でこの人の歌を
歌っているところをお目にかかったことがないというのも無理ない話かもしれない。
曲調は日本人受けするフォークソング(若干カントリーの匂いがするが)だし、
都会的な冷たさもないし、アメリカ人特有の力任せという歌い方でもないし、
文句の付けようがないと私には思えたんだが。
人気の方はハカバカシクないどころか全然相手にされなかった。
そうして、デビューから30年以上も経っているというのに相変わらず梨の礫。
「彼の歌に日本人が付いてこれないと思う点は」と考えた時、
唯一「彼の掠れ声が嫌いなのかな」としか思い付かなかった。

ジョン・プライン[John Prine]

私も知らない彼の経歴が見つかったので要約したものを載せることにした。曰く「1946年イリノイ州メイウッドに生まれる。祖父はカントリー界のスーパー・スターといわれたマール・ハガードと一緒に演奏していたミュージシャンで、ジョン自身も14歳でギターを手にし、70年代初頭よりシカゴ界隈のクラブで歌い始めた。そして71年にファーストアルバム『John Prine』を発表。ベトナム帰還兵をテーマにした「Sam Stone」やドラッグについて歌った「Illegal Smile」などが収録されたこのアルバムに、かのクリス・クリスファーソンは「彼は24歳。だがまるで220歳のような歌を書く」という言葉を寄せている。

ジョンの名は次第に音楽シーンに浸透していき、彼の曲をカバーするアーティストも増えてきた。しかし、その後5枚目あたりから出すアルバムが鳴かず飛ばずで終わってしまうという不遇の時代が続いた。だが、アルバム『The Missing Years』のグラミー賞受賞によって、再度幸運の女神が微笑むことに。90年代に入ると、彼の曲はジョン・デンバーやボニー・レイットからもカバーされ、現在も現役まっただ中である。恐ろしいほど達観した視点で歌をつくり、悩める国アメリカの現実を浮かびあがらせるという点ではランディ・ニューマンにも匹敵する人物といえるだろう」とえらく好意的というか、持ち上げたものがあった。

さすがアメリカのCDショップだけのことはある。
今でも彼のCDは10枚以上も扱われて現役そのもの。
それらのCDから私の偏見と独断で選んだ彼らしさたっぷりの名曲をお聞かせしよう。
「音痴かな」と疑ってはいけない。自慢じゃないが彼は正真正銘の音痴なんだから。
でも聞いていくにつれ、きっと心地いい気持ちにさせてくれるホンモノの歌手なのだ。
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John Prine(1971年)
「Hello in There」
デビューアルバムに見放されていく老人の歌を歌ったところが、
彼らしいと言えるのかもしれない。
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Diamonds in the Rough(1972年)
「Souvenirs」
1曲目の続きのようなこの曲。初々しくフォークソングを奏でている。
あの頃は何の違和感もなくこういう曲を聞いていた。
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Sweet Revenge(1973年)
「A Good Time」
彼の永遠のテーマ、それは過ぎ去りし日々。
彼の歌には思い出とともに走馬灯の輝きのような確かな時間があった。
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Common Sense(1975年)
「Common Sense」
この曲は停滞期の1曲だ。
今から聞いても何ともしがたい感じ。要は駄作ということ。
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Bruised Orange(1978年)
「The Hobo Song」
フォークソングからカントリーに走った頃の曲。
これまた何ともしがたい感じ。
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Pink Cadillac(1979年)
「Down by the Side of the Road」
この頃の彼は私がいうのもなんだがいただけない。
酒に逃げたのか、女に溺れたのか、どうせそんなことだろう。
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Storm Windows(1980年)
「Storm Windows」
この頃から彼本来の輝きを取り戻してきたみたい。
それは彼が過ぎ去りし日々に近づいたことを意味するのかもしれない。
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Aimless Love(1984年)
「Somewhere Someone's Falling in Love」
ぐるぐる回る走馬灯のように落ち着いた日々の中で、
いつしか彼は自分にしか歌えない曲を作っていた。
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The Missing Years(1991年)
「Jesus The Missing Years」
7年ぶりに出したアルバムは珠玉の名作ぞろいだった。
ダイアモンドの原石が時間と共に磨かれて宝石になったという感じなのか。
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Fair & Square(2005年)
「Other Side of Town」
去年出したアルバムは「あのやんちゃ坊主がどうしちゃったの」と
思うほど綺麗さっぱりと枯れていた。


最近、日本でもあの頃のフォークがリバイバルしているというニュースを見た。
私的に言わせてもらうなら、チューリップやイルカのような歌ではなく、
岡林信康とか、早川義○の歌がリバイバルしてもらいたいんだが。
(岡林の「手紙」なんか、何度聞いてもいい歌なんだが)
この続きは次回へ
by tomhana190 | 2006-05-25 07:58


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