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名古屋巡礼記:69

鍋屋上野を巡礼する/後編

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これが「永弘院」の本堂である。

勝手知ったる天満通(別に他意はない)を西に渡って未知なる地を目指す。
この辺り、上野町とか鍋屋上野町といった古い地名が続くところ。
いわゆる今回の目的に合致したエリアに入ったことを意味するのだ。
しばらく歩くとお寺が見えてきた。地図を見ると「永弘院」とある。
近づくと独立した大きな鐘吊り堂もあって、何やら立派そうなお寺だと判った。
本堂はというと、味気はないが凛とした落ち着きが感じられて中々いい。
広い境内は静寂のひとことで、それこそ静まり返っている。
歴代の住職達の人柄が忍ばれて、何やら好感が持てる寺でもあった。
境内の隅には地蔵堂とも言うべき建物があって、地蔵達が直立不動で立ちすくんでいた。
よく見るとその中に1体、馬頭観音があるのが判った。
バックに満開の桜を入れつつ記念写真を撮った。
更にここには「上野城跡」という何やらきな臭い碑も建っていた。
しかし「こんなとこにも城があったのね」という
ゴクゴク普通の当り前の感想だけしか思い付かなかったのね。
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残り少ない桜の花に映えた地蔵堂。

この永弘院の敷地のすぐ隣に「八坂社」という、いかにも名前は名高い神社があった。
しかしこの神社、名前は立派だが第一感、何かが違うと思ったんだな。
辺りを見回していてハタと気が付いた。見通しのいいハゲ山に建つ神社そうろうなのだ。
大なり小なり神社には鎮守の森というものがあるのが普通なのに、
ここの細長い境内には枯れそうな松が2〜3本あるだけで、あとはなんにもない。
隅から隅までガラガラのスッカスカなのだ。
落書きだらけの拝殿がチンケなら、狛犬も量産品のチンケなシロモノ。
これではいくら神社愛好家の私でもイカンともし難いではないか。
とう留時間1分弱でスゴスゴと引き下がるしかなかったのだ。
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これがハゲ山に建つ「八坂社」全景。

次に向かったところは「清明山」交差点のすぐ西側にあるはずの「愛宕神社」だ。
これまた京都に本社のある名高い神社だがその実体はというと、
コッチの方が八坂神社よりはちょっとはマシかなというくらいで、
体勢にはまったく影響がなかったという感じ。要はツマランということ。
そんな微妙な空気の中にあって、ここにいる狛犬はちょっとは見どころがあるヤツだった。
何故なら、ここの狛犬は昭和量産型とは違って、ブクブク太った変なヤツ。
おかしな顔はしているが、愛嬌があって好感が持てる狛犬だった。
という訳で、ここにはもう少し長い間とう留することになった。
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思わず笑いそうになってしまった狛犬クン。

残りはあと2つ。ここまで来ると、引き返すことも行くこともどっちも否になってくる。
左足は棒のように重くて痛い。そして、左足の股の関節が悲鳴を挙げている。
相変わらず左足の靴底が歩く度にパカッパカッと音がして五月蝿い。
Tシャツが「汗をほのかに感じているかな」というのを当の昔に通り越して
今じゃ深刻な状態になってきている。しかし、歩き続けねば。とにかく完遂しなくては。
こんな思いで「清明神社」目指して清明山交差点を北に渡った。
静かで明るい住宅街の中を歩いて行くと、目指す清明神社が見えてきた。
抜群な知名度とは裏腹に、高層住宅に寄り添うような何とも冴えない神社だった。
階段を上がると、3人のオッサンが倉庫の前で話をしていた。
お参りを済まして、いつもの決めごと記念写真を撮っていたら、話が聞こえてきた。
「偽の防犯カメラでも、1ヶ月もしない内になくなってしまう…」とか何とか言っている。
聞きたくもないこんな話を自慢げにされては興醒めというもの。
「そんな自慢話をする暇があったら、境内の中でも掃除しろよ」と
心の中でドクヅキながら何気ない顔でここを後にした。
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この名前だからワザワザ探して来たのに、現実とはこういうものなのか。

清明神社の横の道を下っていくと場違いのような真新しくも立派な道に出た。
と同時にあの名古屋ドームの威容?が目に飛び込んできた。
初めてみる名古屋ドーム。関心がないせいか、こんなものかと思っただけ。
今日はデーゲームでもあるのか、ドームの周りが何か慌ただしい感じがする。
そんな中を西に向かって歩く。天気も出発当時と比べると雨雲が立ち込めてきた。
ここまで休憩らしい休憩を全然取っていなかったので、ベンチを探して「どっこいしょ」と
腰を下ろしてみたものの、5分も経たない内に足が「歩こうよ」と言い出す始末。
(最近、何かやる度に声も一緒に出ていることに気が付いた。歳なのかな)
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UFOみたいな名古屋ドーム。

しばらく歩くと南北に走る広い道が現れてきた。
何気なく標識を見ると「瀬戸街道」と書いてあるではないか。
といっても、旧道からは程遠い感じの幹線道路で車も多くて感慨もイマイチという感じ。
その道の向こう側に今日最後の目的地である「矢田六所社」の鳥居が見える。
コンクリート製の鳥居と何のためにあるのかドラゴンズ神社という大きなノボリが見える。
私も名古屋生まれだから一応ドラゴンズを応援しているが、
こういうことは許せないというか、「こうまでするのか」という思いがして、
浅はか過ぎて付いてゆけないというのが率直な意見。
要は「チェッ」と擬音を発して、眉をしかめるという感じなのだ。
そうはいっても、お参りしない訳にはいかないので鳥居をくぐって中に入っていく。
案の定、拝殿は下品な色のコンクリート製でできていた。
しかし、境内は広からず狭からずという感じでいい感じ。
しかも大きな古木が点在して神聖な場所にはピッタリだと思えたが、
実体はというと何処かの公営駐車場と見間違えるほどに、
自分勝手に駐車された車で境内中が無造作に占領されていた。
私が見るところ、ドラゴンズから何がしかのマカナイ料を受けているのか、
長いものには巻かれろ式の欲得三昧に溺れた甘えが
今のこの神の罰をも恐れぬテイタラクを形作った大きな原因だと思った。
作り物はそこそこ立派なんだが、肝心の心ここにあらずという感じがして情けなかった。
神主に言いたい「変わった顔の狛犬が泣いているぞ」と。
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ここの狛犬はいい顔してる。

追伸、帰りの道すがら三菱電機の大きな工場の中に緑に囲まれた祠を発見した。
伸び伸びとした感じで、陽も当たっていかにも居心地良さそうだ。
でも、治外法権というか工場の中には入れなかった。
何故なら、守衛サンに「お参りさせてください」とはいくら何でも言えなかったもんね。
午前11時、この巡礼もようやく終わりの時を迎えた。
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地下鉄とゆとりーとライナーの駅が一緒になっている矢田駅の写真。
しかし、どうした訳か肝心のエレベータでは繋がれていなかった。
by tomhana190 | 2006-04-29 09:58


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