江戸の物知り:6 むかし密通、いま不倫。言葉は違っても男女が 秘かに情を通じるという点では同じ。むろん、バレルと大騒動になるのは 今も昔も変わりがない。江戸時代にも遊び好きな女達がいたらしく、1816年発刊の 「世事見聞録」には、そうした女房達のおかしくもハレンチな生態が描かれている。 亭主が朝早くから働いているというのに、女房は花札などの小博打をしたり、 若い男と芝居見物に行くほか、料理屋の2階へ上がって情事を楽しむなど、 遊びに興じている。密会によく利用したのが出合茶屋で、これは今でいうラブホテルのこと。 江戸市中のあちこちにあったが、特に有名なのが不忍池畔に軒を並べる出合茶屋だった。 不忍池は蓮の花で知られていただけに蓮飯が名物。これは蓮の葉を蒸し、 細かく刻んで塩を振り掛け、飯に混ぜたものだが、次のような川柳も残っている。 「出合茶屋 蓮を見に来て 立て込める」これは不忍池の蓮の花を見ながら 蓮飯を食べるという口実で出合茶屋に上がったのに 障子を閉め切って蓮の花を見ないという情景。 ところで、江戸時代では今と違って密通がバレルと厳しい処罰が待っていた。 処罰法は1655年制定の「市中諸法度」と1742年制定の「公事方御定書」で 具体的に定められていた。それによると、密通した女房と相手の男は死罪はもちろんだが、 女房を寝取られた亭主には報復権も認められていて、 現場を押さえたら密通した女房と男をその場で殺してもお咎めなし。 俗にいう、重ねて置いて4つにすることが許されていたが、 庶民にはそんなことできるはずもない。町役人に届け出るのが関の山。 勤め先の女房と密通すれば男は引き回しの上、獄門。女房は当然死罪だったから、 これまた厳しい。縁談の決まった娘と通じた時、男は江戸40km四方への立入り禁止。 娘は髪を剃って親許へ引渡された。 密通はこのように法律で厳しく処罰されたが、背景にあるのは儒教的な道徳観を 協調する狙いもさることながら、密通があまりにも多く目に余るほどだったから。 とはいえ、処罰するには密通の現場を押さえなければならない。 そんな時は現場を見つけると、まっ先に大家を呼んできてその証人にしたという。 「2人とも 帯をしやれと 大家いい」この川柳はそうした情景を詠んだもの。 大家が現場に踏み込んだところ、密通の2人は慌てて着物を着たものの、 帯も締めずおろおろしていた。法律は実に厳しかったが、何とか穏便に 済ませてやりたいと思うのも人情。そこで、密夫が命を助けてもらう代わりに 女の亭主に示談に持ち込むということが行なわれるようになった。 今の言葉で慰謝料、当時は首代といった。その首代の相場は何故か7両2分(約75万円)。 何故7両2分という金額になったのかというと、一説によれば高野山で 刑死者の菩提を弔う時、1人につき7両2分を納めたことに由来するといい。 また、この金額は町奉行の大岡忠相が提案した大判1枚(大判は額面10両)だが、 金の含有量は小判に換算して7両2分しかなかったのでこの金額になったという。 「捕らえられて 7両2分の 膳を喰い」このような川柳が残されているから、 密通がバレても7両2分の首代を払えば、事を荒立てずに解決できるということは 広く知られていた。そうした一方、ちゃっかり首代を値切る男もいた。 「首代を まけて堪忍 5両取り」たった5両でも長屋暮らしの連中には縁のない大金だった。 ![]() 拝殿のすぐ横に何故か「百度石」と刻んだ石が突っ立っていた。 こんなに近くにあっては用を成さないかと思ったがどうだろう。 (西区武島天神社) ![]() この石も「百度石」だ。朝日を浴びて輝いていた。 辺りを見回すと、コンクリート製の本殿が寂しげだった。 (北区綿神社) ![]() 庭の草花の間に何故かこれがあった。 これも「百度石」としては用を成さないかと思った。 (瑞穂区長福寺) ![]() こんな立派な道標が交差点の隅に無造作に立っていた。 どうでもいいけど誰かにいたずらされなければいいのだが。 (中区金山新橋交差点) ![]() 「百度石」の向こうを張って「参道石」というのを見つけた。 何のためにこうしてあるのかはどう考えても判らなかった。 (中区若宮八幡社) ![]() 「明倫堂趾」という石碑がとある駐車場の中に立っていた。 尾張藩の藩校だった明倫堂、現在の県立明和高校だということが判った。 (中区東照宮) ![]() 地図にも載ってないような名もない小さな神社にも「百度石」はあった。 誰も訪れないようにひっそりとしてたがホントはどうなんだろう。 (中区山ノ神神社)
by tomhana190
| 2006-04-29 08:11
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人生の御負け
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