江戸の物知り:5 戦国時代から江戸時代にかけて、木材の需要は急激に増えていった。 というのも、城や寺社、城下町などの建造が大規模に進んでいたから。 という訳で、木曾や飛騨などの山々では盛んに伐採され運び出されていた。 当時、林業は今の鉄鋼業とか建設業のような基幹産業のひとつになっていた。 代表的な材木産地のひとつは木曾谷だが、ここは木曽川の上流にあって 古くから中山道が通り、重要な交通路にもなっていた。しかし、島崎藤村が 「夜明け前」の冒頭、木曽路はすべて山の中であると書いたように、木曾産のヒノキは 室町時代から良質材として京都方面に出荷はされていたが奥深い山々が連なって、 まだまだ本格的に開発されていなかった。 ところが、西日本の主な森林が伐採され続け、次第に樹木が乏しくなるにしたがって、 木曾の材木がにわかに注目されるようになった。 こうして奥深くて不便な木曾の山へ入り、材木を切り出すようになっていた。 1600年9月15日、徳川家康が関ヶ原の合戦で勝利すると、さっそく木曾の山々を 配下に置いて、伐採した材木を江戸城などの築城に使われるようになった。 その後、木曾は1615年に尾張藩に編入されることになった。藩用材を切り出す一方、 幕府用材のための伐採を続けた。その結果、木曾の山々は江戸初期の段階で かなり奥地まで大規模に伐採された。尾張藩では森林保護のため、 1665年あちこちに留山(とめやま)を設定した。留山とは領民が勝手に入り込み、 木を切ったり狩りをすることを禁止した山のことである。 これに対して明山(あけやま)というのがあった。明山とは領民が用材や薪を集めたり キノコなどの産物を採取するたまに入るのを許可した山のこと。 また明山の中にも伐採を禁じた樹木があって、これを特別に留木(とめき)といった。 この留木を無断で切ったら罰せられるのはいうまでもなかった。 留木にされたのはヒノキをはじめとしてサワラ、クロベ(ネズコ)、アスヒ(アスナロ)、 コウヤマキの5種類で、今でも木曾の五木として有名な木だ。 ヒノキ以外の4種類は全てヒノキに似ているため、これを伐採許可にすると 間違ってヒノキを切るということになりかねない。そこでヒノキを保護するために 似ている木まで留木にしたというのが実状だ。 木曾産のヒノキは美しくて強く、良質なため建築材はもちろん建具や家具、 仏像から船まで様々なところで使われてきた。一般的には木曾ヒノキ材として 親しまれてきたが、尾張藩が木曾を管理したため尾州材とも呼ばれていた。 これほど有用な木材を産出しながら、木曾はかつて太閤検地や徳川検地でも 測量されなかった。検地が初めて実施されたのは江戸中期の1724年のことであり、 それ以前は年貢も発生しない無高という土地だった。 検地以後は米の代わりに当然材木で年貢を納めていた。 それは断面が台形になった材木で、長さは何故か約160cmと100cmの 2種類だったという。春の伐採シーズンには数千人もの人々が山に入って、 今では考えられないような大変な活気だったという。 境内に入ろうとする門のすぐ右手に並んでいた3人の地蔵のひとり。 朝日に照らされながらも物憂い表情を漂わせていた。 フリルの付いた前掛けと淡いピンクのお帽子が艶かしくもあった。 (北区清学寺) このお地蔵さんは境内に入ってすぐを左に折れたところに並んでいた。 どうでもいいけど、訪れてからだいぶ経つのに何故か覚えている。 私も年を喰ってしまったという証拠なのかな。 (北区修善禅寺) このお地蔵さんは境内に入る入口の外に置かれていた。 1体に付き1基づつこうしたしっかりとした木組に囲われていた。 「守られているんだな」思ったことを思い出した。 (西区法源寺) 1度は訪れてほしい曼陀羅の世界がここにはある。 世にも不思議な寺院にあった、ごく普通のお地蔵さん。 手水処の脇で柄杓を膝の上に乗せてじっとしていた。 (中区福生院) この寺の入口にはあたかも観光スポットのように こういった地蔵が主張もせずにずらりと並んでいた。 いいように管理されているようで悲しそうだった。 (昭和区太平寺) 名もなき地蔵が境内の草むらの中で佇んでいた。 何の目的でこうしているのか、今となっては誰も覚えていない。 知っているのはこの地蔵ひとりかもしれない。 (昭和区称名寺) 下町の繁華街に降って湧いたように現れるこのお寺。 この町の名前の由来となった由緒正しきこのお寺。 このお地蔵さんが皆さんのお越しをお待ち申しております。 (西区浄心寺)
by tomhana190
| 2006-04-01 09:42
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人生の御負け
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