江戸の物知り:3 江戸時代でも一獲千金の夢を追う人が大勢いたという。 今も競馬、競輪、競艇、宝くじなどの官許の賭博が盛況のようだが、 江戸時代でも宝くじと同じような「富くじ」が人気のマトだった。 当りクジの金額は100両とか50両ぐらいだったが、中には千両という途方もないものも あったという。だいたい1両10万円で単純計算すると今のお金で1億円。 今なら当たれば全額そっくり貰えるが、当時はそうはいかない。 奉納金とか祝儀とかで、2割ほど差し引かれた。富くじの売値は1720年代で1枚が1分だった。 1分は1両の1/4だから、ざっと25000円。当時のエリートだった大工の3日分の手間賃に 相当したので、庶民にとっては高嶺の花だし、おいそれとは手が出なかった。 そこで数人で金を出し合い、1枚の富くじを買っていたという。 こんな川柳があった。「大笑い 富場で杓子 落っことし」富場とは抽選会場の寺社だが、 ここでいう杓子とはくぼみのない飯を盛るしゃもじのこと。富くじに当たる呪いで、 しゃもじを懐に忍ばせて富場へ行ったところ落としてしまったというもの。 周りにもしゃもじを忍ばせた人がいたのか、それを見て大笑いになったのは思いは同じことか。 それともツキか落ちたと思ったのかも知れない。 富くじは高価だったが、中には非合法の富くじもあって、これは1枚が1〜2文という安値で 売られていた。その代わり当たっても賞金は8〜10文という微々たるもの。 そういう非合法の富くじは影富あるいは第付などと呼ばれていた。寺社が興業する 公許の富くじの当たり番号を予想して、クジを買うという一種の賭博だった。 それ以外の賭け事にはサイコロ、独楽、カルタ、宝引などがあった。サイコロ賭博で 一般的なのが「ちょぼいち」と「丁半」。簡単に勝負がつくため半ば公然と行なわれたという。 「ちょぼいち」とは1個のサイコロを使い、賭けた目が出ると賭金の4倍貰えた。 「丁半」は2個のサイコロを使い、目の合計が偶数なら丁、奇数なら半で勝負を決めるというもの。 テレビの時代劇などでは「丁半」のイカサマ出てくるが、当時、賭博師の中でも 悪質な連中は様々な仕掛けで客から金を巻き上げていた。 例えば、2個のサイコロが同じ数が出るように重りを入れて細工する。 むろん客には予め正しいサイコロを見せ、途中ですり替える。こうしたサイコロは 2面を同じ数字が出る確立が高くなり、いざという時に使った。 更に1個のサイコロに小さな鉄片を埋込み、ゴザの下に判らないように磁石を入れておく、 サイコロをそこに転がすとサイコロの鉄片が磁石に吸い付くのでいつも同じ数字が出せる。 このような手合いにかかったら、それこそ身ぐるみ剥がされるのがオチ。 しかし、江戸庶民はそこまで愚かではなかった。たいていは分別をわきまえ、 適当なところで切り上げていたという。 武家から庶民までよくやっていたのが「宝引」という遊び。 これは福引きの一種で、実際は数多くの細紐の先端に小さな縁起物や金銭などを結びつけ、 反対側の細紐を束ねて手に持ち、その中から1本の細紐を引かせる。こうして、その紐に 付いていた品物や金銭を与えた。当初は正月の遊びとして行なわれたという。 やがて「辻宝引」といって、香具師達が商売にした。縁日や祭りの時、 路上で1本10文で引かせたのだが、たいていは2〜3文の安い品物を結んでいた。 そして客寄せのための見せ掛けに、これ見よがしに高価な根付けや1分金(25000円相当)を 結んでいたが、これには絶対に当たらないという細工が施されていたんだな。 ゴクゴク標準的な「百度石」だ。 面白味も何もあったものじゃない。 (東区大幸八幡神社) 境内の隅にポツンとあった「百度石」だ。 これまた面白味も何もあったものじゃない。 (北区羊神社) これまた境内の隅にポツンとあった「百度石」。 今まで見た百度石で、使われていると実感したのはほとんどない。 (昭和区川原神社) 他のと比べると書体に閃きを感じる。 しかし、石そのものは面白味も何もあったものじゃない。 (中村区熊野神社) 入口の鳥居のすぐ脇にあった「百度石」。 これまた使われていそうになかった。 (千種区お千代保稲荷) お参りする所から10mも離れていないとこにあった。 こういうものを気分で設置するのはよそう。 (千種区日泰寺) ココまで来ると本来の意味から離れて 単なる調度品、オマケのようだった。 (天白区五社宮神社)
by tomhana190
| 2006-04-01 09:26
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人生の御負け
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