何を隠そう私は若い時分から、このテの歌と歌手がず〜っと好きだったのだ。 (今じゃ見向きもされなくて埋もれてしまったオジサン達だが) 自分でも不思議なんだが、今から思うとただの天の邪鬼だけだったのかもしれない。 当然このCDに出てくるシンガーは2〜3の人を除いて日本ではみんな無名。 (最初に断っておくが、この中にはキラキラのカントリーハットにブーツを履いた 鼻の頭が赤くてでっぷり太った、一目見て判るカントリーバカはいない) こうして選んだメンバーを見ていると「どうだ、私の目に狂いはなかった」と思えるんだな。 評判にはならなかったけど、いぶし銀のように時代を越えて今でも輝いていると。 人生の峠を越してひと休みもふた休みもしている私には 彼等の歌う人生の応援歌が何よりの生きる糧となっている。 (そういえば、カントリーは断然男のもの。女のCDは1枚も持っていないな) 「Layla and Other Assorted Love Songs」Original Release Date: 1970 この曲はこのバンドというよりはボビー・ウィットロックの曲。「レイラ」に隠れた知られざる名曲。こういう何でもない曲がたまにはいいんだな。もうこの世界からいなくなっちゃったんだなと諦めていた03年、彼はホントに久しぶりに新譜を出した。もちろん何をさて置いて買ってしまった。だけど期待が大きい反面、中身はそれほどでもなかった。世の中ままならないんだな。 「High Winds White Sky 」Original Release Date: 2003 この曲は彼の初期(71年)の作品だ。この頃の彼はまだこの業界にスレてなくて朴訥とした雰囲気がストレートに溢れていた。この頃まだあった古き良き時代の優しい歌だ。今の厳しい時代だからこそ彼の歌がまた求められているような気がすると思うのは私だけなのか。何度も何度も聞いている内に良さが分かるはず。 「Good as I Been to You」Original Release Date: 1992 デビューしてから30年以上経つのに歌はホント色褪せてない。しかし、この人は凄い人だ。長年連れ添った愛妻と離婚してチャラチャラした若い娘と結婚しようとも、老け込んだ顔を気にして美顔整形しようとも、ギターが少々ヘタでリズムが狂うことがあろうとも、彼のこの「歌の説得力」があれば何にも恐いものはない。こうして彼の歌は人々の心に確かな足跡を残していくことだろう。彼は心に残る人だ。 「Stephen Stills 2」Original Release Date: 1971 CSN&Yという4人組のグループをご存じだろうか。70年代ベトナム戦争の頃、一世を風靡した。あの頃、めちゃくちゃもてはやされていた。彼はその内のひとり、私が一番買っていた人だ。しかしグループを解散してソロアルバムを3枚ほど出したあと消息が判らなくなってしまった。彼は遥か歴史の彼方に旅立ってしまっちゃったのかな。 「Naturally」Original Release Date: 1971 乾いたテキサスの風のような飄々とした歌が彼の永遠のテーマだ。すがりつくほどの熱い歌い方じゃなく、どこか冷めた感じが漂っている砂漠の砂のような歌い方だ。10年程前、ニューヨークのボトムラインでライブを相変わらず飄々とこなしていたのを最後に音信不通が続いている。 「Danny's Best 1970-2000」Original Release Date: 2005 映画のパターンでロードムービーがあるように、道をテーマに人生をオーバーラップさせた歌がある。この歌は彼の数少ないヒット曲の中ではピカイチの曲だ。「Blues in old motelrooms. girls in daddy's car …」と自分の父親を醒めた目で歌った曲。私には絶対に書けない詩の内容だ。私も父を亡くして早いもので15年も経ってしまった。 肝心なCDがないのでSalty Candyでカンベン 古くはレオン・ラッセルとの競作アルバムを2枚ほど出した彼。その後、リタ・クーリッジほか当時の豪華バック陣を多数ヒューチャーしたソロアルバムを3枚出して忽然と消えた。童顔の彼とレオンラッセルとの音楽的接点は知らないけれど同郷のよしみという関係だったのかな。何年かのブランクの後、「Lost in Austin」で復帰を果たした。しかし、数年前ニューヨークのボトムラインライブでデブデブになった姿を曝して以来、今どこでどうしているのか私は知らない。 「Golden Heart」Original Release Date: 1996 この曲は3拍子のどうってことない曲だけど、何故かまた聞きたくなってしまうという曲だ。彼の歌はお世辞にも上手いとは言えないけど、聞いていて何故か引かれる。それに何といってもギターがいい。彼のギターにはガツガツ弾かずに余韻を楽しむ大人の嗜みみたいなものが感じられる。全然無理してないんだが妙に心洗われるものがある。そして彼の歌を聞いていると、金には縁がないが心落ち着いた毎日が送れるような気になる。余談だが、退院記念のライブでこの曲を取り上げたんだが惨澹たる結果に終わってしまった。この歌は聞くとヤルとでは大違いという典型的な曲だ。 「Best of the Rest」Original Release Date:2005 酒とバカ騒ぎの好きなカントリハットが似合う典型的な南部の男。しかし、実情は意外にも愛妻家である。スーザンという奥さんひとりをずっと愛してきた。売れたら若い子と再婚が常識みたいなこの世界にあって、彼は自分に大切なものは何かをちゃんと判っている人だ。気持ちのイイ愛妻家だ。彼の曲は日本ではMr.Bojanglesぐらいしか知られてないけど、まだまだいっぱいある。酒を飲みながらこんな曲を聞いているとなんだかほっとする。しみじみと人生を見つめ直す時に聞く曲だ。 「Old No. 1/Texas Cookin'」Original Release Date: 2001 かれこれ30年ほど前、何故か彼のライブを見にわざわざ岐阜まで行ったことがある。ファーストアルバムのツアーだと思うんだが今となってはどうして行ったのかさっぱり覚えていない。そんな彼を知ったのはたぶん、彼の歌をジェリー・ジェフ・ウォーカーあたりが採りあげたのを聞いて知ったからか。この曲はそのファーストアルバム「Old No.1」の1曲。パッと見コテコテのカントリーに聞こえるけれど、彼の本質はそうでもないと私は思う。しかし最近の音楽はどうしてこういう感じが少ないんだろう。 「Kristofferson」Original Release Date: 1970 この語りを聞いただけで「仕方がないな」と認めてしまう。結構スレてるこの曲が何故かデビューアルバムに入っている。当時、スケールの大きな凄い新人が出たと研チャンから聞かされたのを思い出した。リタ・クーリッジと結婚し、映画に何本も出て、飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼。しかし今じゃ彼もそこらのオッサンと変わらなくなった。当時の熱き思いは今も変わらず彼の心で脈打っているのだろうか。 「Photographs & Memories: His Greatest Hits」Original Release Date: 1974 彼の歌は熱く乾燥したバーボンの似合う南部ではなく、北部の鬱蒼とした林の中、ただただ静寂を感じるだけの日常が感じられる。彼はレコードを3枚ぐらい出し、ぼちぼちヒットも出てきて「さぁ、これからだ」という時に飛行機事故で亡くなってしまった。死んだのを聞いた時、欠けがいのない大切なものを失くしたような気がした。余談だが、彼は有名になってからも弾くギターは何故か1万円程のヤマハギターだったと聞く。 「Get Rhythm」Original Release Date: 1987 彼の曲の中でもこの曲は特別にヒットした訳でもボトルネックがカッコいい曲でもない。ほとんどの人は聞いたことないんじゃないのか。でも彼を長年追い求めてきた私にとってこの曲は一番思い出深い曲。彼を初めて知ったのは70年代はじめ頃。たしか新進気鋭のギターリストとして音楽雑誌で見たのが最初。でもその頃はあんまり興味が湧かなかった。でもヒョンなことから雄サンと彼の曲をヤルようになった。もちろん楽譜なんかないあの時代、1コード1コードふたりで探してきた。それ以来、彼の新譜は必ず買ってきた。余談だが、最近またキューバミュージックで一儲けしたみたいだけど、私としてはもう一度原点に立ち戻って頑張ってもらいたいな。 「The Missing Years」Original Release Date: 1991 若い時は身持ちも悪く、酒とコカインに明け暮れ、ベトナム帰りのように荒れて無鉄砲のような感じだった彼。そんな彼が年月とともに丸くなって帰ってきた。この曲の入った新譜(もう何年も経つ)「The missing year」は久しぶりに出逢った旧友みたいに、私をあの頃の懐かしい気分にさせてくれた。 「Jessie's Jig & Other Favorites」Original Release Date: 1975 CD屋で彼を探そうとすると彼のCDはカントリーの中にある。でも彼はカーボーイハットを被りブクブク太った赤ら顔のカントリーシンガーとは違う。それこそジャズからフォークまでこなすマルチプレイヤー&シンガー。この曲はそんな彼のベスト版「Jessie's Jig & Other Favorites」からの1曲。今聞いても全然色褪せてない。つくづく惜しい才能を無くしたもんだ。 「Across the Borderline」Original Release Date: 1993 この曲の元歌はポール・サイモンらしい。しかし元歌は全然聞いたことがない。何でもいいが、私はこの曲みたいにコチョコチョコードの変わる曲が大好き。聞いていると何故か弾いてみたくなる。そのうちにヤッてるんじゃないかなと思っていたけど、突然の脳梗塞で倒れギターも弾けず、雄サンと2人でやる希望も儚く消えてしまった幻の一曲だ。 ♪ 16名の中で2人がもうこの世にいない。Jim CroceとSteve Goodmanだ。 彼等はお金とも名声とも共に縁はなかったがそれでも暖かい家庭には恵まれた。 彼等のそんな家族を残して先立つ気持ちを推し量ると、 私には他人事のような気持ちにはなれない。 この病気になってから、そこらへんのことが切っても切れない問題として 切実に感じるようになってきた北風冷たい今日この頃です。
by TOMHANA190
| 2006-02-01 16:30
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人生の御負け
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