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名古屋巡礼記:59

滋賀県東南部を巡礼する/中編

この細字の甲良神社、全然チンケでチャチな神社でなかった。
鳥居をくぐって境内に入ると意外と広い。そこに真直ぐ並べられた敷石の列が続いている。
その横に灯籠もあってまさしく寺院を思わせる。滋賀県の神社にはここにあるような
相撲場を思わせる建造物が拝殿の前にどっしり構えている場合がある。
たまたま行った時は、何かの催しものがあって相撲場には折り畳みイスが並べられ、
三々五々黒ずくめの男達が集まっている。そんな男達の話声が聞こえてきた。
曰く「あの2人、誰だ」そんなことにお構いなく拝殿まで歩いて行く。
お参りを済ませ、ふと見ると本殿の横に接社みたいな拝殿がある。近づいて行くと
世にも珍しいものにカチ当たった。それは今までに1度も見たこともない
木製の狛犬が拝殿の上に鎮座していたのだった。その時の感覚といったら
「大変なものを見つけてしまった」という、さしずめ下半身が総崩れのような状態だった。

今まで一度も見たことのない木製の狛犬。何処にでもあるような神社だと思って
何気なく行ったのに、天使が囁いてくれたのか思いもよらぬ大収穫テンコ盛りの
甲良神社をあとに、次なる太字神社へと向かった。敏満寺野口線という県道を西に向かい
国道8号線に出る。国道に出たら南下する、ほどなくすると阿自岐神社口という交差点に出る。
その交差点を東に入りしばらくすると道路沿いに石灯籠がずらりと並び、それに沿って
美しい庭園が続いている。北側に神社らしきものが見えてきた。
それが探していた阿自岐神社(あじき/豊郷町安食)だ。あじきさんの愛称で親しまれている
広大な庭園を持つ神社。祭神は味耜高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)で、
百済系の渡来人である阿自岐氏を祀ったものではないかと考えられ、ここがまさしく
阿自岐氏の邸宅跡だと伝えられている。庭園は約1500年前、日本に漢字を伝えた
王仁氏が阿自岐氏に招かれて造ったとされ、日本最古の庭園のひとつともいわれている。

そんなダイソレタ神社だとはつゆ知らず、私達しかいないことをいいことに
ヅカヅカと入って行く。ここにもまた拝殿前の例のものがあった。
ここのは寺院の楼門のような造りをしていた。それを越して拝殿前に行くと運悪く修理中で
工事用の幕で被われていた。さぞや立派な本殿の姿を見れないままお参りを済ませて
車の方に戻ろうとした時、宮司の奥さんとおぼしきオバサンが自転車に乗って帰ってきた感じ。
自転車を止めるや否や「お茶でもどうですか」と親しく声を掛けてきた。
「次がありますから」とテイよくお断りして、ホントに次の神社へと向かった。
8号線を大津方面に向かってドンドン行き、愛知川も越えて近江八幡市に入る。
しばらく行くと東川町という交差点に出る。この交差点を西に入り5km程行くと次の目的地、
苗村神社(なむら/竜王町綾戸)が道を挟んで突如現われる。
この神社、近郷一帯33カ村にわたって氏子を有し、33年に一度行われる大祭
(ちなみに前回は1982年)はことのほか有名とある。

普通の神社とは少々違っていた。本殿が道を挟んで東西に別れている。
最初に西の方からお参りすることにといって進んで行くと、とてつもなく大きな楼門
(重要文化財)が現われた。神社は鳥居と相場が決まっているのに、
ここではそんなことどうでもいいかのように圧倒的な迫力で迫ってきた。
良く見るとこの門も変っている。不格好なくらい頭でっかちなのだ。
それを協調するかのように門の下層部には壁がなくて柱と梁だけになっている。
これを見て誰でも「神社でなくて寺じゃん」という感想が一番当たってる。
こんな大きな門だからと思って境内に入ると本殿は正面に見えてこない。
なんとも不思議な感覚だ。「ま、いいか」と中に入っていくと、またあった。
例のものが、ここのは舞台のよう。また、ここには国宝があるという。
それが祭神国狭槌命(くにのさづちのみこと)を祀った西本殿である。
神仏混合時代の名残りから、境内の不動堂には明王像も安置されているという。

比較的開放された空間に建っている西本殿に対して、道路を挟んで東側にある東本殿は
鬱蒼と繁った大きな鎮守の森の中程に建っている。室町時代に建てられた東本殿
(重要文化財)はほかの建物と違って朱色に塗られ、プロポーションも他とは違っている。
まぁ普段見向きもされないような神社だが、コッチの方が神により近づけそうで
神社本来のあるべき姿を感じてしまうのは私だけか。
HPによると子供神輿の奉納と神馬10頭が古式ゆかしい恰好で参道を駆ける
勇壮な流鏑馬祭もおこなわれるという。この神社に相応しい農村のお祭りが
脈々と受け継がれている。それがまた、いいんだな。2つ分の神社をお参りして
次へと向かう。ここからは県道を乗り継いで1号線へ出る。亀山方面に向かう途中、
水口町に立ち寄ることにした。何故なら地図にあった水口城の城跡が
回りにお堀を巡らした絵に書いたような城跡だったから。
一目見ないとバチが当たるかもしれないと思ったんだな。
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写真1:木製の狛犬は横から見たら、腰の辺りで繋いでいるのを発見。
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写真2:苗村神社の楼門が遥か向こうに見える。
by tomhana190 | 2010-03-13 08:26


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