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歴史のオマケ:32

狛犬/15

ここからはその当時の湯屋での仕事について書こう。
まず番台、男なら一度は座ってみたいのがこの番台。白くて豊満な女性美を堪能できると
思うだろう。しかし、そのは浅はかというもの。番台に座るのも仕事である以上、
八方に気配りが必要であった。まず浴客から湯銭を徴収しなければならない。
これを現金湯の客といった。風呂好きなご隠居や横丁のお妾、
何もする事のない大店のお内儀などは一日に数回通ってくる場合がある。

彼等はその都度現金払いにするのを億劫がり、銭湯で発行する1ヶ月単位の
手形を持ってくる。つまり期間中フリーパスの定期券だ。
これがある限り一日何回入浴しようがかまわない。また湯屋にとっては常連のお得意様
(ものの本によると1人1ヶ月104文という)ということになる。
番台では他に客の希望に応じて糠袋を貸したり、中身の糠を売ったり、
通りすがりに立ち寄った客には手拭いを貸したりもする。またあかぎれ、擦り傷の膏薬は
冬期に固まってしまうので火鉢であぶって軟らかくしておかなければならない。

糠なども火鉢でよくあぶって油を採取する。これが水虫の薬なのだ。
なかには爪きりや櫛を借りる客もいる。そこではさみや櫛に紐を付け、
大きな木札をさげておく。別に銭を払って背中の流しを要求する客には木札を渡すとともに、
奥にいる三助にその事を知らせるための拍子を打つ。男客なら1つ、女客なら2つだそうだ。
ちなみに、女湯で洗髪する場合には湯の消費量が多いため拍子木は3つ。
三助はその音を聞いて必要数の桶を並べておくのである。

もちろん話好きな客には適当に相手をしてやらなければならないし、
その間もめは休む事なく板の間稼ぎのコソ泥を警戒しているのである。
正月や五節句、その他の紋日には三方に山と積まれたおひねりの整理もある。
留桶を新調した客の名簿や月末には留湯契約の羽書作成やら集金の問題もある。
それと大店の奉行人などはいちいち湯銭を持たす訳にもいかず、一括して月いくらと
契約する場合もあった。かくて、一見暇そうに見えた多忙というのが番台なのだ。

だいたい番台は湯屋の主人か主婦、あるいは長年奉公して湯屋のことなら
何でも心得た番頭がするところ。いきなり誰でも代役が勤まる訳でもない。
番台を主人やベテランの番頭が勤めるなら、新入りの見習いは
まず古材のお拾い屋になる。落語「湯屋番」で道楽息子がはじめに頼まれる役だ。
主に普請中の現場を尋ね、棟梁の機嫌をとりながら木っ端を集めたり、
川の畔の流木や竹の切れ端を集めるのだが、これにさえ湯屋の縄張りがあって
見習い程度ではうまく集まらなかった。

稼ぎ時といえば、江戸名物の火事があった時だ。火事場の後片付け引受て
焼け残りの木材を貰うのである。またお邸の庭木の後始末も絶好の機会だった。
しかし、そういうことがなければ町の隅から隅まで歩いて、
仕舞にはドブ板まではがして持っていく始末。うかつに板や丸太を家の外に出しておけば、
これが全て風呂の燃料になってしまうのだ。もちろん薪を使う場合もあったが、
この薪代が高価なのだ。しかも銭湯代はお上によって決められており、
いきおい頼るところは木拾いの木屑なのである。この話の続きは次回にて。

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写真1
金に物言わせた狛犬がコレ。
材質からして、さもお金が掛かっていそう。
(中区成田山名古屋別院
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写真2
地図に名前すらない神社で面白い顔をした狛犬を発見した。
細身の体、トボケタ顔が愛らしい。
(中区榊森白山社
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写真3
世の中、重々しいだけの狛犬が増えた。
これもそのうちのひとつ。感想すら思い付かない。
(名東区日吉神社
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写真4
骨太で 直立不動、愛らしい目が特長。
この狛犬も戦後生まれの典型なんだな。
(中村区椿神社
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写真5
チンみたいな狛犬がコレ。
どうしたらこんな風に汚くなれるのだろう。
(東区大幸八幡社
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写真6
これも戦後生まれの典型みたいな狛犬。
体に付いた模様が入れ墨みたいで面白い。
(中村区牧野神明社
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写真7
コレを狛犬と言っていいのか意見が別れるところだが、
2匹の狛犬が楽しそうにしているから、まあいいか。
(中区三輪神社
by tomhana190 | 2010-03-13 07:49


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