達人への道:17

不思議な日本語:あなたは鹿児島弁を知っていますか?
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家の本棚を整理していたら「かごしま語あんない」という妙な本が出てきた。
本といっても文庫サイズで140ページもない程のシロモノ。
使われている紙も昔のわら半紙という感じで貧弱この上ない。
裏を見ると昭和44年発行で定価450円と一応市販されていたみたいだが、
見るからに鹿児島の出版社で作った地元ものという感じだった。
何故こんな本が家にあるのか、私にはさっぱり判らない。
まっ先に思い付くのがM美の母親が鹿児島出身で家族を連れての帰郷の折、
誰か鹿児島の親族か何かが親切心で鹿児島土産に買ってくれた本。
その本を何も知らないM美が貰ってきて、回り回って家に来たという感じなのか。
という訳で、今まで読んだことも、見たこともない本がこつ然と出てきたのだ。
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何を隠そう、私は生っ粋の名古屋生まれの名古屋育ちである。
一時、東京へ移り住んだこともあるが、名古屋生まれという気概を捨てたことはなかった。
そんなことがあったからでもないが、今の私の話す言葉は正真正銘の名古屋弁だ。
無理して話しているというよりは、
知らず知らずの内に気が付くと名古屋弁を話してしまっているという感じ。
そもそも子供の頃から名古屋弁に慣れ親しんでいるから、
無意識の内に名古屋弁で文章も考え、話もしているみたい。
名古屋にいると名古屋弁という言葉は空気みたいなものだから、
そういうバリバリの方言で物事を考えて話しているという、
「これって、凄くない」という一種の感動を自覚することはまずない。
という訳で、名古屋生まれの私がこの本を使って鹿児島弁に親しもうという
訳の判らん、大それたことをしてみようという企画を立ち上げることにした。

まずもって、鹿児島弁とはどういう方言なのか?
この本には「鹿児島弁のあらまし」ということで次のようなことが書かれていた。
鹿児島県下の方言、いわゆる鹿児島弁を大きく分類すると、
地域的分類と人間的分類になるという。
地域的に分類すると大別して4つに別れるという。
1:鹿児島市(昔の士族と町人とでは多少異なる)
2:薩摩半島(南部と北部で多少異なる)
3:大隈半島(南部と北部で多少異なる)
4:種子島地方(その他の離島も内地とは大分異なったものがある)
次に人間的に分類すると津島藩時代からの流れで当時の階級職種により、
それぞれ特殊用語があるので、次の通り分類されるという。
1:武士(=島津藩に仕えた武家、士族の言葉)
2:町人(=島津藩城下町である現在の鹿児島市内の当時の町人の言葉)
3:農民(=1・2を除いた鹿児島全域の農山漁村民間の言葉)
更に人間的分類として、男女の性別分類も一応考えられるが、
これは終戦後の男女同権の立場から夫婦間における問答等の他は
各特殊用語の区別が薄れているという。

という訳で、
私が学ぼうとする鹿児島弁はまずもって武士の使った鹿児島弁にしようと思う。
(鹿児島弁といったら、西郷隆盛の話した鹿児島弁が特に有名だから、
といっても直接西郷の話を聞いたことないので、あくまでイメージの話)
そもそも、鹿児島弁と標準語とは、どんな点が違うか?
基本的な相違点として言えることは
鹿児島弁には共通語を基にした発音の簡略化や短縮化があるということ。
と同時に、全く逆に冗長化した言葉もあるという。

鹿児島弁の特徴:1
標準語の動詞などの語尾の「る」という発音するものは
促音の「っ」という発音に変化する。
[用語例:標準語→鹿児島弁]
ある→あっ、要る→いっ、入る→いっ、折る→おっ、着る→きっ、
知る→しっ、出る→でっ、取る→とっ、乗る→のっ、見る→みっ、
生きる→いぎっ、移る→うつっ、語る→かたっ、決まる→きまっ、等
上記の変型で語尾の2字が違うもの。
消える→きゆっ、受ける→うくっ、させる→さすっ、建てる→たつっ、
真似る→まぬっ、決める→きむっ、入れる→いるっ、晴れる→はるっ、
見とれる→みとるっ、破れる→やぶるっ、別れる→わかるっ、等
[特殊な変化例:標準語→鹿児島弁]
数える→かんずっ、考える→かんぐっ、生える→うやっ、追い掛ける→うかくっ、
見つける→みしくっ、尋ねる→たんぬっ、埋める→うんむっ、出来る→でくっ、等

鹿児島弁の特徴:2
標準語において語尾が「む」という発音するものは
鹿児島弁では全て「ん」に変化する。
[用語例:標準語→鹿児島弁]
編む→あん、痛む→いたん、囲む→かこん、刻む→きざん、住む→すん、
悩む→なやん、憎む→にくん、望む→のぞん、踏む→ふん、休む→やすん、等

鹿児島弁の特徴:3
標準語において語尾が「に」または「み」という発音するものは
鹿児島弁では全て「ん」に変化する。
[用語例:標準語→鹿児島弁]
鬼→おん、国→くん、谷→たん、→すん、海→うん、神→かん、組→くん、
シミ→しん、罪→つん、富→とん、文→ふん、刺身→さしん、白身→しろん、等

鹿児島弁の特徴:4
標準語において語尾が「ぬ」という発音するものは
鹿児島弁では全て「ん」に変化する。
[用語例:標準語→鹿児島弁]
犬→いん、絹→きん、等
死ぬ→しん、来ぬ→こん、のように否定の意の語尾は全てこの変化になる。

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=まだまだ続くのだ=
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by tomhana190 | 2006-06-01 08:44


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