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私だけのCD:36

BIN'S JAZZ


私はインテリがしたり顔で聴くような頭デッカチのガチガチジャズには
最初からまったく興味がなかった。
また、意味不明な「あんたなら、どう聞く?」というような、あたかも試されているような
そんな即興的なジャズにも全然動じなかった。
最初から形式や理論に雁字搦めにされたようなカタワのジャズには
「何が自由だ、チャンチャラ可笑しいよ」と笑ってきた。
だから、カタクナと思われようとも「あんたみたいのがいるから…」と思われようとも
このCDではジャンルや名前に捕われず、気の向くまま、私の思うまま、
心の行き着くところのジャズを集めて見ようと思った。
「これがジャズなの」と思うかも知れないが気に入ってもらえれば幸いの心、てかっ!
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一応このCDのためにデザインしたジャケットがコレ。

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〈1曲目〉Old friend:Hirth Martinez
CDが見つからなかったので「To Say I Love You」でごカンベンを!
知る人ぞ知る超マイナーなシンガー。1975年に彗星のごとく「Hirth From Earth」でデビュー。バック陣もロビー・ロバートソン、ラス・カンケル、チャック・レイニィなどソウソウたる人達が揃い。さらに、1977年にはスティーブ・ガッド、ジム・ケルトナー、ロン・カーター、ドクター・ジョンなどのサポートを得て「Big Bright Street」が出た。しかしそこで何故かぷっつりと消えてしまった彼。でも23年ぶりの2000年に「I'm not like I was before」で忽然と私の前に帰ってきた。20年以上経っても何にも変わらない彼のギターと声がココロに滲みるな。
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〈2曲目〉Imojochu:Amos Garrett
CDが見つからなかったので「Buried Alive In The Blues」でごカンベンを!
タイトルはなぜか「芋焼酎」。日本にライブに来た時の居酒屋で飲んだ時のインスピレーションかどうか知らないが。どうでもいいけど日本では無名の彼。その彼の唯一のインスト曲が日本とゆかりの深いというのも何かの縁だ。しかしどうでもいいけど、ギターは冴えてるな。こうまで弾く人は私の身近ではオーティスのY君ぐらいしか思いつかない。きっとY君は彼を気に入ると思うよ。
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〈3曲目〉Inherit the wind:The Crusaders
「Only Survivor」Original Release Date: 1996
クルセダースのウィルトン・フェルダーの物悲しいサックスに、Mr.ソウルのボビー・ウーマックが渋々の唄を被せてる。御機嫌なサウンドはまさに大人が聞くに相応しい哀愁のニューヨーク・セレナーデという感じで、すこぶる調子がよくなってしまうな。
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〈4曲目〉Until we meet again:The Neville Brothers
「Valence Street」Original Release Date: 1999
この曲は99年発表の「Valance Street」に入ってる。ニューオリオンズジャズ、ケージャンソング、ファンクミュージックと色々な形容詞で呼ばれてる前衛的な彼等の音楽だが、こういう感じのオーソドックスなラブソングもなんかジャズぽくってナカナカだと思うのは私だけか。
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〈5曲目〉You're coming home:Esther Phillips
「What a Diff'rence a Day Makes」Original Release Date: 2002
サウンドはあの頃一世を風靡したシャレたヒュージョンサウンド。その曲に一度聞いたら忘れることのない彼女の声がオーバーラップしておシャレなジャズができた。しかし彼女の声は演歌のコブシだらけで何か気持ちのいいものではない。彼女は今の時代には決して日の目をみることのないシンガーのひとりかもしれない。
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〈6曲目〉Bitter sweet:Joe Sample
「The Song Lives On」Original Release Date: 1999
私は昔からジャズは聴かなかった。あのシタリ顔の感じがだめなのだ。でも唯一聴いていたのがクルセダース。ロック全盛のあの頃にあって、決っしてジャズを守るのではなく、むしろ果敢にロックに挑戦していた彼等。ジョーは間違いなく私のお気に入りのピアニストだ。辛気臭いのや、妙に高尚を気取るジャズはいただけないが彼みたいな自然体のが私には合っている。聞いていて癒されてくる人間的な暖かみが彼にはある。
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〈7曲目〉Lonely Girl :Mark Almond
「The Best of Mark-Almond」Original Release Date: 1990
ドラムにスティーブ・ガッド、ベースにウィル・リー、パッカーションにラルフ・マクドナルドといったニューヨーク・ジャズメンを起用したガツガツしてない大人のサウンド、これが彼等の持ち味。これが24年前録音されたとは全然思えない。このレコードを最後にプッツリ音信不通になった彼等。今頃、どこで何をしているのか、チョっと心配だ。
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〈8曲目〉It's a sin to tell a lie:Steve Goodman
「Jessie's Jig & Other Favorites」Original Release Date: 1975
私は彼のことを詳しくは知らない。そして彼はもうこの世にはいない。しかし、彼のギター、彼の声は絶品だ。この曲はスタンダードの曲だけど、これだけアレンジできる彼にただただ脱帽。今流行りのリメイクなんてもんじゃない。つくづく惜しい才能を無くしたもんだ。
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〈9曲目〉Jack of speed:Steely Dan
「Two Against Nature」Original Release Date: 2000
いつ聞いてもオシャレな彼等だが、この曲はウォルター・ベッカーのギターが前面に出ているちょっとタイトな曲。こうして聞いてみると彼のギターも充分ジャズしてるな。ここ最近の私のお気に入りは断然彼等。彼等の作るメロディに心を奪われてる毎日だ。この曲も最近お気に入りの1曲。今時の妙に時代錯誤的な緻密に計算された曲と違って、とにかくセコセコしてない曲作りに拍手喝采なのだ。余談だが、いみじくも私の妻が言った言葉が一番彼の音楽を的確に表していると思った。「なんか知らないけど、この歌みたいな生活がずっと夢だったんだな」これだけで充分です。
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〈10曲目〉Take me there:Grover Washington Jr.
「Winelight」Original Release Date: 1980
80年に発表されたこの曲を聞いて今流行りの人でケニーGとかいうサックスプレーヤーを何故か思い出した。でも曲を思いだした訳じゃない。「今時の人はなんて薄っぺらの音なんだ、綺麗にやればそれでいいのか」こんな思いをつい抱かせるカッコいいケニーG。その点、グローバーはさすが大人だ。彼には物の本質が見えているんだと思う。やすらぎの中にジャズの本質が見隠れしている。そして本物が持つ風格みたいなものが感じられる。ガツガツ・ギラギラしてなくて、なんて言おうか「さり気ない男の色気」みたいな後ろ姿が感じられる。最近は全然CDを出した話を聞かないが、元気ならそれでいいんです。
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〈11曲目〉Texas girl at the funeral of her father:Randy Newman
「Little Criminals」Original Release Date: 1977
この曲は彼の曲の中でも全然無名な曲。ほとんど誰も知らない。でもこういう曲をヤラせたら、彼の右に出る者はいないな。なんか物語を感じるというか、詩情があるというか、日本人には絶対作れない曲だな。彼は映画「イージーライダー」のジャック・ニコルソンが演じたインテリのヒッピーみたいな人だ。奥さんと子供に悲しい思いをさせた男の歌とか、人生にはいつも雨が降り続いている歌とか、彼の型破りな歌詞の内容にはいつも驚かされてきた。彼の歌を30年間ずっと聞き続けて思ったことは、生きてくことはとっても大変なんだ。当たり前のように大人にも子供にも分け隔てなく容赦ないなということ。
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〈12曲目〉Drunk on the moon:Tom Waits
「The Heart of Saturday Night」Original Release Date:1974
この曲は彼がまだジャズぽい雰囲気で曲を作ってた頃の名曲。この頃の彼はジャズミュージシャンとしてようやく認められ、日本へのライブをはじめ、精力的にステージをコナシていた。その後暫くして何を思ったか映画に出演。以来、順風満帆だった彼の船が急に訳も分らずシケに遇って遭難して、ジャズとは縁もゆかりもない、変な1本調子の唄の世界に足を踏み入れようとは、お釈迦様でも知るよしもないはずだ。余談だが、彼は一時リッキー・リー・ジョーンズとつき合ってたみたいだが、その後どうたし訳か彼が彼女をフッたと聞いていた。勿体ないことをするもんだ。
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〈13曲目〉City lights:Dr. John
「City lights」Original Release Date: 1978
あの頃、ちょっとクセモンのシンガーのレコードには必ずと言っていいぐらい彼の名前がクレジットされていた。何曲・何人とセッションしたのかきっと本人も忘れてしまっているに違いない。それぐらいスゴかった。この曲の入ったLP「City lights」(78年)には死んだリチャード・ティーやニール・ラーセンなんかも入っている。私はハッキリと断言できる。日本人はクラシックならソコソコ弾けるようになれるが、彼の弾くような曲は決して真似のできないことを。その心はいたって簡単。技術じゃない、ハートなんだよワトソン君。
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〈14曲目〉Aztec legend:Larsen Feiten Band
「Larsen-Feiten Band/Full Moon」Original Release Date: 2005
彼等の出逢いは70年前半まで溯ると聞く。下積みのスタジオミュージシャンとして、それぞれ別々の経歴を積み、とうとうこのLP(80年発表)で一緒になった。Larsenという人は根っからのジャズマン。Feitenはどちらかと言えばロック畑の人。彼等は当然の帰結か、2枚ほどLPを出した後別れていった。でも短い間ではあったがこうして私達に名作を残してくれた。そしてグループ解散後も、付かず離れず友情を暖めていると聞く。余談だが、うちのバンドの雄さん研ちゃんとも、かれこれ30年も付かず離れず一緒にやってる。当然、付き合いは嫁さんよりもずっと長いことになる。当たり前と言えば当たり前だ。


聞いてみてどうでしたか?気に入ったのはありましたか?
思ってた人が全然入ってないぞ、と御立腹の貴兄。
まぁまぁ御心配なく。これはあくまで私のランキングであり、
初めから世間の評価など全く度外視してるからあしからず。
近頃トシのせいかジャズが以前より耳障りではなくなってきた。
危ない徴候か、でも本格的な歌のないジャズはやっぱり好きになれないな。
私の場合、あくまで歌のあるジャズぽい雰囲気の曲が好きみたいだ。
ではではまたね!
by tomhana190 | 2006-04-01 10:13


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