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私だけのCD:33

BIN'S BLUES


私とブルースの出合いは、かれこれ30年ぐらい前の
NHK特別音楽番組「スーパーセッション」を見た時からだったような気がする。
ジャズからロックまで、売れっ子ミュージシャン(例えば、チェッペリン・クラプトン・バディマイルスなど)に
混じってブルースマンのバディ・ガイが場違いのようにそこにいた。
その時彼は玉虫色の細身のスーツ(白黒TVだけどたぶんそうだと思う)に細いタイをキメて1曲歌った。
クラプトンが彼の顔色を伺いながらギターを弾いていたのが印象的だった。
その時「なんだクラプトンより彼の方がエライじゃん」と単純な私は思ったのです。
さっそく名古屋中のレコード店をくまなく探したけど、
彼のレコードは結局1枚だけ、それもオムニバス版に1曲だけ入っていただけだった。
今じゃブルースなんて、という人も多いと思うが、今から30年前はブルースと言えば
淡谷のり子と答える人がほとんどの世の中だったんだ。
それでは突然質問です。このCDの中で白人は誰でしょうか、考えてみてください。
答えは最後にあります。
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一応このCDのためにデザインしたジャケットがコレ

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〈1曲目〉Galway Station blues:Steve James
「Boom Chang」Original Release Date: 2000
彼の事はさっぱり何んにも知らない。レコード屋で何気なく買った。顔はどことなくヒューイー・ルイスに似てる。歌もサホド上手いともいえない。でも彼のギターは、いかにも教科書ぽい感じでこれはこれで微笑ましいんじゃないかな。
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〈2曲目〉The sky is crying:Elmore James
「Slip Sliding Away」Original Release Date: 2000
一言で彼を語るとするならば“偉大なるワンパターン”がピッタリじゃないかな。タイトルは違えども曲は全てジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャンという出だしで始まるブルース。でもここまで徹底すれば、こんな出だしの曲はみんな彼の曲だと言ってもいい。余談だが、彼の曲は簡単そうで、意外に難しい。その証拠に名古屋のライブハウスでやってるのはGOBぐらいのものか。あれ、あれあれ鼻タカダカの自慢話だったな。
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〈3曲目〉I'll play the blues for you:Albert King
「The Very Best of Albert King」Original Release Date: 1999
3Kingのひとり。個人的には1番がFreddie、次が彼、どうでもいいのがB.B.になってしまう。彼の特徴はなにより彼のギターの音色にある。何故なら彼はギッチョにもかかわらず普通の右利き用ギターを、弦を張り替えずにヒダリで使う。だから、高音のチョーキングはすべて親指でする。だからあんな音が出るんだな。この曲は彼の最大のヒット曲です。
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〈4曲目〉The forecast:Robert Cray
「The Robert Cray Collection」Original Release Date: 1999
彼を初めて見たのはMTVだ。イキのいい本格派黒人ブルースマンが久しぶりに出てきたと嬉しくなったのを憶えている。あれから約20年。彼はどうしてしまったんだろう。ブルース以外に手は出すわ、バックは白人で固めるわ、とにかく曲に勢いがない。一度シカゴへでも行って自分の音楽をキッチリ見つめ直してほしいもんだ。彼ならきっとできると私は信じてる。
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〈5曲目〉Midnight hour blues:David Bromberg
「Sideman Serenade」Original Release Date: 1989
この人は別にブルースマンじゃない。カントリーからロックまでなんでもコナスけど、気が向くとこういうこともする。彼のベスト版は「Midnight on the water」。でも何年か前、ミュージシャンをヤメてただのギター職人になったという話を誰からか聞いた。
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〈6曲目〉Ain't misbehavin':Leon Redbone
「On the Track」Original Release Date: 1975
若いのか年寄りなのか、今の人なのか過去の人なのか、まるで全然分らない不思議な人。広いアメリカの中にあっても貴重で稀なシンガーのひとりだ。中にはこういう変わり種もいてもいいかな。
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〈7曲目〉Red house:Jimi Hendrix
「Blues」Original Release Date: 1994
今この曲を聞くと『なんだスティービー・レイボーンによく似てるな』と思う。だが待てよ、スティービーに似てるじゃなくて、スティービーが似てるんじゃん。やっぱり神様は時々、天才を世の中にちょっとだけ早く誕生させるな。彼は間違いなくその偉大な早生まれのひとりだ。
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〈8曲目〉Me and my guitar:Freddie King
「Texas Cannonball」Original Release Date: 1972
彼こそブルースのまさに鉄人。ギターもカッコいいけど、なんと言ってもボーカルがピカイチだ。竹を割ったような混ざりっ気なしのストレートなブラックブルース。キャリアの長い彼だけど、私はやっぱりレオンラッセルのシェルターレーベル以降のが好きだな。バタ臭いけど曲のセンスは一流だ。私は歌も人生も、脇目も振らずまっすぐに走り抜けた彼の生き方にホの字です。余談だけど、バンドのY君が彼の「Same Old Blues」を持ち歌にしている。機会があったら一度聞いてもらいたいな。
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〈9曲目〉Speedo:Ry Cooder
「Borderline」Original Release Date: 1980
この人は別にコテコテのブルースマンなんかじゃない。でも大人になってから好きになったブルースを歌ってる普通の白人とはちょっとばかりケイロが違う。きっと子供の頃から黒人音楽ばっかり聞いて育った変な白人だったんだな。黒人音楽がネッカラ好きだという感じが音にキッチリ出てる。そんな彼は最近あんまりよくない。一時の情熱が薄れて金儲けに走っているかのようだ。昔は良かった。ボトルネックギターの音色が心地よく、出る曲、出る曲がどれも新鮮で、何を隠そう私達も少しでも彼に近づこうと日夜練習に明け暮れていた。それがなんかの映画のサウンドトラックを手掛けて成功するや、いつしかそれが生業になってしまった。ミュージシャンとしては判らないでもないが、それはとっても危険なこと。案の定、今の彼はプレイヤーではなくデレクターみたいなことをやってビバリーヒルズに暮らしていると聞く。
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〈10曲目〉Love me like a man:Bonnie Raitt
「The Bonnie Raitt Collection」Original Release Date: 1990
この特集唯一の女性シンガー。まぁ箸休めみたいなもんだな。やっぱり汗臭い男の歌ばっかり聞いていると、たまには女の声が聞きたくなる。彼女の歌うブルースはお世辞にも上手いと言えるもんじゃないけど、健気に弾くブルースギターにはなんか好感がもてるな。10年程前、突然グラミー賞を受賞して、それまでの生活が一変した。それ以降、出すCDは金がかかっているし、共演するヤツもビックな連中ばかりだけど、なぜか出来たCDはお世辞にも上出来とはいえない。彼女もライ同様、よけいなお世話かもしれないけど、自分の心に正直になってもらいたいものだ。
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〈11曲目〉As long as I have you:John Hammond
「Long as I Have You」Original Release Date: 1998
歌もギターもそんなにウマい方じゃない。でも一途なまでにボトルネックにこだわっている。一途なまでにライブにこだわっている。最近のラップかなんか知らないけれど、ブリーチしたナヨッた黒人なんかよりはよっぽど私には好感がもてるんだな。
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〈12曲目〉I can't be satisfied:Maddy Waters
「His Best: 1947 to 1955」Original Release Date: 1997
彼は新しいものを率先してどんどん取り入れた、まさにブルース界の織田信長みたいな人だ。この曲は晩年何故か白人の白子ジョニー・ウィンターとジェームス・コットンと一緒に吹き込んだものだがすこぶるいい。往年の力強い、彼らしい声も健在だ。どうでもいい話だが、以前TVで彼のライブを見た時、彼のコウトウブの髪が薄くなってるのに気がついて、『なんだ黒人も禿げるんだな』と思ったことを今、鮮明に思い出した。
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〈13曲目〉Worried about my baby:Howlin' Wolf
「The London Howlin' Wolf Sessions」Original Release Date: 1971
彼はとっくの昔に死んでいる。彼の死がニュースに載るはずもなく、いつ死んだかも知らない。私は彼のCDを4枚ほど持っているが、どれも基本的には何にも変わらない。歌は泥臭く名前の通り「吠える狼」そのものだ。晩年何故かロンドンで白人ロックミュージシャンとLPを出した。この曲もその中の1曲だ。彼にしては似つかわしくないキレイなサウンドはリードがクラプトンのせいかもしれない。聞きやすいけどガツンと腹に響くようなものがないな。
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〈14曲目〉Come on my kitchen:Robert Johnson
「The Complete Recordings」Original Release Date: 1990
今、流行っているブルースの元祖は彼だと言っても過言ではない。あの有名なマディー・ウォーターが彼のプレイ見て勉強したという。クリームで有名なCross Roadも彼のオリジナルだ。彼以降のブルースマンのレパートリーには必ず彼の歌が1曲は入っている。余談だが、彼の歌うブルースは一流だったが、品性は二流だったのか、たしか奥さんに毒殺?銃で撃たれた?んで若くして死んだんじゃなかったかな。御愁傷様。
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〈15曲目〉Mama don't allow it:Steve Goodman
「Jessie's Jig & Other Favorites」Original Release Date: 1975
彼はブルースマンとは思われてない。世間ではカントリーシンガーぐらいに思われてるんじゃないかな。この曲のリズムを何と言うのか知らないけれど、一つ間違えるとチンドン屋になるところを彼はシッカリブルースしてる。何故か日本ではこのテの曲を誰もやらないのは、どうした訳なんだ。
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〈16曲目〉Sweet sixteen:Junior Wells
「The Best of Junior Wells」Original Release Date: 1998
初めて買った彼のLPはバディ・ガイとの競作アルバム「Play the blues」だと思う。聞いてビックリしたのを覚えている。何故なら、それまでのブルースに比べるとリズムに切れがあり、R&Bに近づいたブルースといった感じだったから。それ以降、欠かさず買い求めてきた。私はブルースハープは全然吹けないんだけど、彼みたいに吹けたらどんなにカッコいいことか、とつい思ってしまう。彼の鼻声とハープの間合い、ホントにゾクゾクしてくる。そんな彼も最近亡くなった。正統シカゴブルースのシンガー兼ハーピストがまたひとりいなくなった。惜しい。


クイズの正解を。白人は1・5・6・9・10・11・15の7人。
黒人との違いは何回も聞いてるとこれが自然に判かってくるもんです。
ではでは、またね!
by tomhana190 | 2006-02-27 15:53


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