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GOB備忘録:20

ライブと私の備忘録[9]

延々と続いたブルースの話も一応前回で終了としておこう。
(ホントに終われるかどうか私も心配していた)
ここからはGOBが取り上げたシンガーソングライター達の話をしていこう。
どうでもいいけどシンガーソングライターというと日本ではフォークソングか何かを歌う
ネクラで人気のない歌手達が目に浮かんでしまうが…
しかし我々が取り上げたシンガーソングライター達は人気のないという点では
当たっているかもしれないけれど、その他の点では違っている。
どういう風に違うのかはオイオイ話していけば判るはず。

GOBを語る時、何をさて置いてまず最初に登場して貰わなければならないのは
RY COODER だ。
ライ・クーダーというと、今の人達にはベンダーズの映画などの
映画ミュージックをやる人とか「Buena Vista Social Club」という
キューバ音楽の記録映画を作った人というイメージしかないないかもしれない。
それはそうだろう87年発表の「Get Rhythm」以降
自分の音楽というものから遠ざかって久しい。
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1枚目「Ry Cooder」に収録されていた
Dark Is the Night

初めライはそんな人ではなかった。
60年代後半にセッション・ギタリストとして八面六臂の活躍をしていた。
特に、スライド・ギターの腕前は当時比肩する者は誰一人なくローウェル・ジョージは
もちろん、あのデュアン・オールマンにも大きな影響を与えていた。
セッションも多岐にわたり、パット・ブーン、モンキーズなどのポップスから
ランディ・ニューマン、アーロ・ガスリーらのバーバンク・サウンドの同胞たち
果てはイギリスのローリング・ストーンズまで
幅広いジャンルの人々との仕事をこなしていた。
一躍その名を轟かせたライは満を持してソロデビューを果たした。
1枚目:Ry Cooder(70)、2枚目:Into The Purple Valley(72)
そして、3枚目:Boomer's Story(72)とたて続きに発表した。

私がライを知ったのは4枚目のParadise And Lunch(74)から
このアルバム、収録された曲はライのオリジナルではなく古いフォークやブルース
ゴスペル、R&Bなど多彩なんだが、いずれの曲も彼ならではのアレンジを施し
様々な要素を巧みにミックスして見事に「ライ・クーダーの曲」として再生させている。
アルバムを初めて聞いた時、私には全てが新鮮だった。
そして、それまで私が聞いてきた曲とは全てがあまりにも違っていた。
(ビートルズ以後のイギリスのロックは見た目重視のミーハー音楽が主流だった)
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2枚目「Into The Purple Valley」に収録されていた
F.D.R. in Trinidad

ライのやっている音楽を私はすぐ気に入った。そして、この音楽がやりたいと思った。
というのも、型にはまったバンドでなくてもライの曲は充分やれるという気がしたから
というのは簡単なんだが、いざやろうとするといろいろ問題があった。
まず最初にライのやる曲の楽譜が手に入らなかったことだ。
(その頃有名人のアルバムが発表されると、アルバムに収録された曲の楽譜が
出るというのが普通だったがライの場合、そんなものが出るとは思えなかった)
それに万一有名人になっても、ライのやる曲はオリジナルではないため
版権その他、色々な問題があって実現はまず無理だった。

かといって、自分でその曲の楽譜を作ろうにも私ひとりでは荷が重たかったのも事実。
そんな時、雄サンとボトルネックの話をああだこうだとしていて偶然ライの話が出た。
というのも、ライの3枚目にMaria Elenaというインストが入っていたのだが
その曲は日本人には馴染みのないボトルネック奏法で演奏していた。
音楽雑誌にその曲の特集があって、ついでに楽譜も出ていた。
私がたまたまその雑誌を持っていたので
雄サンにも見せてやろうとユッカに持ってきたことからそんな話になったと思う。
その時はライの曲がどうのという話は出なかったが
雄サンもライのやる曲に興味があることが判った。
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3枚目「Boomer's Story」に収録されていた
 Maria Elena

そしてある日、満を辞してライのやっている歌の
楽譜作りみたいなものを私と雄サンの2人で始めた。
ああだこうだあって楽譜作りにはなんとなくルールができた。
まず、ライの曲の中から歌う曲を探すのは私の役目。
そしてレコードのコード進行を最初ざっと調べ、不完全なまま雄サンに渡す。
私の声に合ったキーに直したり、カポを使って弾き易いコードに直したりは雄サンの役目。
そうして最後は曲の構成など2人で話し合って完全な我々の楽譜にしていた。

しかし余りにも昔のことなので、その当時作った手書きの楽譜はもう残っていない。
今、私の手元にある楽譜は10年程前PCに落とし込んだ新しいもの。
調べてみるとライの楽譜はライブでやってないのも含めて12曲あった。
(初めの頃の楽譜がないのでハッキリ何曲あったのかはもう判らない)
その中で私の心に残る印象深い曲は
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4枚目の「Paradise And Lunch」に収録されていた「Mexican Divorce」と
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5枚目の「Chicken Skin Music」の「Smack Dab in the Middle」だ。
by TOMHANA190 | 2006-02-01 16:04


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