マニアへの道:5

ベスト10:ビートルズの隠れた名曲

今でも人気の衰えないビートルズは私にとって何なのか、
それは私が聞始めた最初の洋曲(原語の曲)がビートルズの歌だった。
それまでもテレビや何かではアメリカの洋曲なんかが歌われ聞こえていたが
如何せん、みんな日本語に訳されて日本語の曲のように扱われていた。
広田美恵子が歌っていた「バケーション」とかは今でもどうにか憶えているが
一言で言うと日本ナイズされた歌、日本語でスポイルされた歌というイメージしかなかった。

それに当時テレビから入ってきた歌は当時小学生だった私には手垢の付いた大人の曲、
何か訳の判らないショービジネス界に紛れた不純な曲のようなイメージが付きまとっていた。
そんな時、長兄が持ってきたビートルズのレコードは右も左も判らない私にとっても新鮮だった。
その頃は今みたいに情報が溢れてなかったし、早くもなかったので
ゆっくり、ゆっくりとその新鮮さは私の感覚にも精神にも同化されていったようだった。

今みたいにビートルズが解散してから、もう35年も経つと
今の若い人も私も結局、同じ原曲を聞き、同じ情報を共有していることになる。
(細かいことで恐縮だが、私はレコード。今の人はCDという大きな違いはあるが)
どちらかと言うと、今の人の方が当時の私なんかより情報のアンテナが効いているので
私の知らない詳しいことまでオタク的に知っているのかもしれない。

私が唯一自慢できることと言ったら、それはビートルズをまさに時代と共に体感してきたこと。
一応ビートルズがビートルズとして活躍した時期はメジャーデビューを果たした63年から
惜しまれて解散した70年までの約8年間だと言ってもいいんじゃないだろうか。
そして、デビュー当時のワイルドでそれこそロックンロールばりばりの若い歌から
単純なラブソング、インド思想に影響された哲学の歌、ハードロックみたいな曲、
そして最後はビートルズの歌としか形容できないオリジナリティ溢れる曲など
ビートルズの変遷の初めから終わりまでを一喜一憂しながら見てこれたこと。
(全部で何曲録音したのかはオタクでないので詳しくは知らない)

しかし、今の人にはデビュー当時の曲もホワイトアルバムの曲も解散間近の
アビーロードの曲もみんな同じビートルズの曲としてしか認知できないかもしれないが
私にとってビートルズの曲は8年間という時間の流れと共に1本に連なっている。
新曲を出すたびに「何でこんな新曲出したんだ」とハラハラドキドキ思ったことが何度もあった。
しかし、暫くするとビートルズのやってたことが「これでいいんだ、間違いない」と
思うようになっていたから不思議だ。そうしてアットユウマに解散の時を迎えていた。

前置きが長くなったが「ビートルズのベストテン」をやろうとすると
誰もが知っているシングルカットされた曲に人気が集まってしまうのは至極当然なこと。
しかしそれじゃぁ、みんな知っている曲ばかりだから面白くない。
ここは勝手にも私が人肌脱ぐことにした。(ビートルズマニアのM君ゴメンネ)
誰からの意見や注文、中傷にも影響されず自分勝手に、
私にとっての「ビートルズ・ベストテン」を世に問うことにした。
準備期間はたったの3日間。コレで充分なのだ。

と訳の判らぬままゴールへと突き進んでいくのだ。
解散までに発表されたオフィシャルレコードと共に「ビートルズ・ベストテン」を発表しよう。


With The Beatles:1963

第10位:All I've Got To Do
たぶんプロデューサーに言われて渋々そうしたんだと思うが「よく素人臭いリズムで終始したな」と呆れてしまったこの曲。でも、その健気さが後々の大成に繋がったんだと思うが。彼等の器用さがうかがえる初期の名曲でもある。


Please Please Me:1963

第9位:Good Night
ホワイトアルバムの最後の曲は珠玉の映画音楽だった。それも誉れ高い映画絶頂の60年代によく聞いたクラシックのような名曲だった。歌がどうの、曲が何かの曲に似ているだのと詮索せずに心を広げて、大らかに楽しむ曲なんだな。


A Hard Days Night:1964

第8位:Yes It Is
こういう透明感はどこから来るんだろう。今回じっくり聞いてみてバックのギターのような、そうでないような和音の音が歌のメロディーとはかけ離れた音を出してていたのに気がついた。でも、そういう枠にはまってないところがビートルズらしくて、この曲、ますます気にいってしまった。


Beatles For Sale:1964

ココで惜しくもベストテン入りを逃した次点の曲を紹介しよう
それはHere, There and Everywhere
リボルバーに入っていたポールの代表的ラブソング。こうして聞いてみると何よりメロディーがいい。またバックコーラスも抑えた感じで初々しくていい。演奏も別段どうということもなく1パツドリみたいに淡々とやっているがその3つが集まるとこういう名曲が生まれる。


Help!:1965

第7位:Golden Slumbers〜Carry That Weight
ポールはボーカリストとしても非凡な才能を発揮していた。その彼が一生懸命歌っているところにマル。続くCarry〜ではみんなが一生懸命歌っている。途中ペットの音で何故か9曲目のYou〜が1番だけ挟まっている。もうここら辺でゴチャゴチャ、何が何やら判らなくなってしまう。世紀の名曲とは言い難いが若いポールのララバイとしておこう。


Rubber Soul:1965

第6位:Blackbird
アコスティックギターのイントロで始まるまさしくフォークソング。演奏もシンプル、フォークギターと拍子をとる音だけ。早い時期からライブ活動を休止して1〜2年に1度レコードを発表していたビートルズ。まさに音楽研究室に入り浸ってこんなギターの職人しか作れないような曲を作ってしまった。このギターの音がポールのものかはたまた別人かはどうでもいいし、それによってこの曲の価値が下がるものでもない。ナンセ当時の日本の若者でギターを弾いたことのあるヤツは、1回はこの曲のギターにチャレンジしたはずだから。


Revolver:1966

第5位:Happiness Is a Warm Gun
ジョンのこういう歌が好きだな。ワイルドでクール、普段使っている楽器だけでこの曲は出来てる。しかしどうでもいいけど小節数が所々変わるのはビートルズのお家芸。やたら出てくるけど、どれも新鮮でしかもキマッている。この曲は彼等のセンス、技量がイカンなく発揮されてる曲でもある。こう言っちゃ何だが、ビートルズの中でずば抜けて上手いのはベースのポールだけであとはどうと言うことない。あの頃、何かと忙しかったそんな4人が久しぶりに集まって即席のライブ感覚で出来たのがこの曲(タブン!)。4人が集まると今までになかったようなオーラが何処ともなく集まってくるみたいだ。


Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band:1967

第4位:Because
教会のミサのように始まるこの曲、全編を通しても2:41と短編だ(長ければいいと思うのはゲスのコッチョウ)。またこの曲はソロがいない、全編コーラスパートなのだ(各人がパートを守り一生懸命歌っている)。不思議な旋律からは哀愁と希望、秋の夕日と穏やかな春の日ざしが感じられる。また、ポップスバンドにしては哲学的な歌詞がまたいい(女性には人気がないかもしれないけれど、男性陣は全員、目から鱗が落ちたみたいだ)。丁寧に丁寧に作られているところが今の曲にはない芸術品のような気品を醸し出している。この曲も音楽研究室の為せる技という気がしないでもない。


Magical Mystery Tour:1967

ココからはベストスリー第3位I Want You(She's so heavy)
この曲はブルースコードではないがまさしくブルースだ。歌詞の内容は1番も2番もなく、ワンセンテンスというから恐れ入る。やっぱりこういう歌を歌うのはジョンだ。「ホワイトアルバム」にポールのブルースも入っていたが、善良のカタマリであるポールにはちょっと荷が重かった。その点、この歌はジョンなので安心して聞いていられる。また、ブルースのお約束事である転調も見事にキメて余裕すら感じられる。7:44と長いこの曲。どうでもいいけど、最後の3分以上は歌のない所謂インストなんだけど何か意味があるのかな。余談だが、バックのハモンドオルガンはビリー・プレストンだと思うが、水を得た魚のように弾いているのを聞くのは例えば身内が誉められたようでこちらまで嬉しくなってくる。


White Album:1968

第2位Old Brown Shoe
確か「Lady Madonna」のB面だったはず。ということは正規のどのLPにも入ってなくてシングル版のみの発表だった曲。こんなことをこんなところで言うのも何だが、私この曲の音源を持っていない。ということは何年も聞いていないことになる。だったら「何もこの曲を選ばなければいいのに」と言われそうだが、他の曲ではこの曲の代わりは勤まらないということ。確かジョージの作品だと思ったが、彼はリードギターはさほど上手くはなかったが作曲の面では非凡だった(イカンセン回りにジョンとポールがいたので目立たなかったが)。あくまで記憶の世界で申し訳ないが、この曲はタクサンのジョンやポールの作った曲をさておいてビートルズの2位に相応しい曲だと今でも思っている。
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Yellow Submarine:1969

栄えある第1位Hey Bulldog
この曲、何処にでもあるような3分少々の小品(ちなみにLPイエローサブマリンに収録されている)。ピアノ・ギター・ベースが順番に同じリフで絡んでいく、ロックのお決まりのハイリダシ。どうでもいいけどリフに非凡な才能を見せるビートルズ。この曲もゴタブンに漏れずカッコイイ。普通は無理矢理絞り出してきたソウロウのリフばかりだが彼等のは違う。「何だ、こんなもの」と思うぐらいに誰でも弾ける。やるのは簡単、でも聞くと凄い、それがビートルズらしくて増々好きになってしまう。この曲、デビュー当時の不良ぽさが全編に溢れている。この場合、やっぱり革ジャン着てロックロックでキメめなきゃ男じゃない。ジャックナイフ、ジェロニモ?といったチンピラ特有の言葉が随所にちりばめられている。しかし何だな、この曲が表現しているのはどういう世界か判らないが、この曲の卓越したドライブ感はそうそう色褪せそうもない。
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Abbey Road:1969

と言う訳でココで無事終了と相成る訳なんだが、
気付かれたと思うが私がいつも使っている短時間、無料でCDの音源を配信してくれる
便利なHPである「Barnes & Noble.com」にビートルズの曲で音源が配信しているCDは
たったの1枚「Revolver」だけ。あとは何故か音源を配信していない。
(嘘だと思うなら調べてみてくれ!)
シリーズ最初で大きく得点を稼ごうと思っていたのに大きくアテが外れてしまった。
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Let It Be:1970

最後に一言、「ビートルズのベストテン」と作ろうと思って今回聞き直してみて
判ったのだが、今から35年も前にビートルズは解散していた。
ある者は銃に撃たれ惜しまれながら死を迎え、ある者は不治の病に倒れて屍となった。
残された者達は静かに余韻を楽しんでいる。(ホントにそうかは私の知るところではない)
しかし、彼等の残した歌は今でも色褪せていない。
いつまでも若いまま眩しくハニカンでいる。35年経ち、世の中は大きく変わった。
時間の経過が昔の10倍20倍と速くなり便利になった。
でもホントに私達を取り巻く音楽は進んだのか。
ビートルズを聞いていて判った。速くなり便利になったブン、代償も払わされている。
まったく変わっていないし、どっちかと言うと後退しているのかもしれない。
手っ取り早いリメイクばかりで、昔、泉のように湧き出ていた新曲もめっきり減ってしまった。
とにかく線が細いし、個性のないヤツばかりがウジャウジャいる。
あの輝けるビートルズの時代は何処へ行ってしまったのか。
ビートルズの末裔と自負している私は大いに危惧している今日この頃なのだ。

この企画、あくまで不定期だからそのつもりで。
と余韻を残しつつココで退場しようかな。
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by tomhana190 | 2005-12-22 12:21


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